一人親方労災保険とは

本来、労災保険は事業所の従業員など、“労働者”の業務災害や通勤災害に対して補償をおこなうことを目的とした制度です。 そのため、ご自身が事業主にあたる“一人親方”は保険加入の対象に含まれません。

しかしながら、建設業などの一人親方は業務の実態や災害発生状況が限りなく労働者に近いため、 国は労働者ではない一人親方に対しても特別に労災保険の加入を認めています。

その制度を『一人親方労災保険特別加入制度(一人親方労災保険)』といいます。

労災保険加入は必須?

最高裁判所の判決により、現場において労働者的扱いを受ける一人親方であっても 「一人親方は元請の労災保険の対象とはならない」という事実が再確認されました。 それにより、現場に入る際に一人親方であれば「労災保険の加入の有無」が仕事の受注に大きく影響する可能性があります。

建設業界は雇用形態や業務区分が非常に流動的であり、昨日までは労働者だった方が今日からは一人親方になることもあり得ます。 その他、給与支払いを受けていた方が請負契約を余儀なくされることもあります。 事実として建設産業人口が減少傾向にあるにも関わらず一人親方労災保険加入者数については年々増加しています。 だからこそ、一人親方労災保険に加入して「自分の体は自分で守る」ことが重要になります。

一人親方労災保険の内容

・国が行う公的保険制度だから安心・確実

・掛金は全額が社会保険料控除の対象

・業務災害・通勤災害における治療費や入院費は自己負担ゼロ

・傷病が治癒するまで給付が継続

・休業補償は給付基礎日額の80%を補償(特別支給金を含む)

神奈川県の一人親方労災保険

【一人親方労災保険RJC】

全国に窓口がある国の労災保険です。一人親方労災保険RJCに特別加入をする場合の費用は、国に納める労災保険料と会費の2つの費用が必要です。(入会時のみ入会金が必要になります)

労災保険料は給付基礎日額(保険料や保険給付の基礎となるもの)3,500円から25,000円までの16段階に応じて決まります。

一人親方の特別加入は労働局の承認を受けた団体を通じて加入する必要があります。

国に納める労災保険料は法律で決まっていますので、どこの団体からご加入いただいても労災保険料は変わりません。

違いは会費です。そして会費が高いからといって、補償内容が良いということはありません。

ご存じの通り、会費が安くて良いサービスを受けられるということはありません。

【システム・ポート労働保険事務組合】

労働保険事務組合の中では、有名な団体です。全国に支部を持っています。

労働保険事務組合とは、中小企業の事業主団体がその構成員である事業主等の委託を受けて、事業主に代わって労働保険料の申告・納付その他労働保険に関する各種の届出等の事務手続を行うことにより、中小事業主の事務処理の負担を軽減し、労働保険の適用促進及び労働保険料の適正な徴収を図る制度です。

労働保険事務組合とは、事業協同組合、商工会議所、商工会その他の事業主の団体またはその連合団体が、その団体の事業の一環として、事業主から委託された労働保険事務の処理を行うために、厚生労働大臣の認可を受けた場合に呼称される名称です。

したがって、既存の事業主団体と同一の組織であり、新たに労働保険事務組合という団体を設立するものではありません。

【神奈川SR経営労務センター】

こちらも労働保険事務組合です。神奈川SR経営労務センターは、労働保険事務組合の中で、唯一、労働保険関係の専門家である社会保険労務士会員と会員加入された中小事業主、一人親方で構成された団体です。

基本方針として、

・厚生労働省の認可団体としての適正な運営を行うため、運営基盤の充実と事業推進を図る。

・会員事業所の労働保険の適正な申告と徴収・納付に努める。

・会員事業所の経営基盤の充実・発展に努める。

・会員の増強及び資質の向上に努めることにより、中小零細事業所の労働保険事務処理の軽減等に寄与する。

・会員へのサービスの向上と会員相互の親睦を図る。

を掲げ、会員事業所の発展・福祉向上に貢献することを目指しています。

【関東建設業協同組合】

「お客様のお役に立って行きたい」「賢い消費生活をサポートして行きたい」という理念を基に各専門家(工事の専門家・保険の専門家)が集まり一般社団法人 関東住建設業組合を、設立しました。現代社会では知らないと損をする事が沢山有り、知らないと損をしている情報をより多くの人に伝えて、より多くの人に色々な面で役に立つ組合を目指しています。

現在、年間約1500件の調査依頼があり、被災調査に関しては蓄積したデータを活かして、自然災害の影響なのか、経年劣化なのかを専門家として調査・分析して自然災害の影響がある場合のみ保険申請をサポートしています。保険会社の認定後に修繕工事を行うので保険認定金額以外の支払いは一切ありません。工事は組合で施工管理をしていて、関東圏に加盟会社が30社程有り、施工に関して各専門家が協力して工事をします。施工完了日から3年以内に施工箇所からの不具合がある場合、無償で再施工します。

その他の労災保険

・全建総連神奈川土建一般労働組合 川崎西支部

・川崎地区建設組合協議会

・横須賀北部建設組合

・相模中央建設組合

・川崎建築労働保険事務組合

・神奈川商工振興会

・二宮建築総合互助会

労災保険加入のメリット

仕事中や通勤途中におきたケガや病気には、法律で健康保険は使えないことになっています。また中小事業主、一人親方などは労働基準法の労働者ではないため、労災保険は利用することが出来ないため、一人親方も加入出来ません。そのため、中小事業主、一人親方などの方が仕事中や通勤途中にケガや病気をされた場合は、健康保険も労災保険も使えないという「無保険」の状態になりますが、特別加入をすることによって、労災保険から次のような給付を受けることができるようになります。

治療費は、治療の必要がなくなるまで原則として全額支給(自己負担なし)されます。

・仕事を休んでいる間の所得補償として、休業した日の4日目から1日単位で給付基礎​日額の8割の休業補償を受けることができます。

・一定の障害が残り現実に常時又は随時介護を受けている間は、月単位で介護補償を受けることができます。

・一定の障害が残った場合や死亡された場合に、生活補償として年金や一時金の支給を受けることができます。

原則として一般の労働者と同様に給付を受けられます。

【一人親方は経営者】

一人親方は、労働基準法上の労働者ではないので、又、元請会社などの従業員ではないため、建設工事現場などの作業中にケガをしても労災保険給付の対象とはなりませんが、特別加入をしていれば、労働基準法上の労働者であるかどうかや契約形態などを問われることなく、労災保険から給付を受けることができるようになります。

【仕事受注量増加】

労働災害によるトラブル回避のため、元請会社などの間には、一人親方に対する発注の条件として、労災保険への特別加入を求める傾向があります。

このため、特別加入をすることにより、仕事を受けやすくなります。

まとめ

以上、一人親方労作保険について紹介しました。

神奈川の労災保険についても一部紹介しましたが、数は100以上もあるので気に入るものがなければ他にも探してみて下さい。労災保険は安全だけでなく、会社の信用にも繋がるので、ぜひ加入しましょう。