防水工事の仕事

防水工事とは、屋根や屋上、外壁などに防水処理を施す工事のことです。その作業をする職人を防水工と言います。

防水工事は、アスファルト、モルタル、シーリング材などを用いて防水を行います。防水工事の目的は主に以下の3つです。

建物の強度を保つため
外観や内観を保つため
カビを防ぐため

水が建物内部に入ると、建物の耐久性を低下させてしまいます。また、同時にシミや変色を引き起こし、見た目を損ねてしまうのです。さらに、漏水によってカビが発生し、健康被害を引き起こしてしまう可能性もあります。

これらを防ぐため、防水工事を定期的に施す必要があるのです。

防水工事の種類

防水工事は主に以下の5種類に分けられます。

ウレタン防水

ウレタン(塗膜防水)を使用した工事です。ウレタンは、シート防水などと比較して、複雑な形状でも施工できるのが特徴です。また、建物の傷み具合に合わせて、適した防水層を提供できます。

ゴムシート防水

伸縮性に優れたシートを使用した防水工事です。伸縮性が高いため、下地に亀裂があっても柔軟に対応ができます。

塩ビシート防水

塩化ビニル樹脂製の塩ビシートを使用した防水工事です。紫外線や熱に対して、優れた耐久性を持っています。また、さまざまな色や模様があるため、下地に適しています。

FRP防水

FRP防水は、塗膜防水の一種です。ガラス繊維を含んでおり、軽くて固いのが特徴です。ウレタンと同様に場所を選ばないため、屋上駐車場やベランダなどによく利用されます。

アスファルト防水

アスファルトを用いた防水工事です。防水シートに、高温のアスファルトを塗ることで補強します。アスファルト防水には以下の3つの工法があります。

熱工法
トーチ工法
冷工法

防水工事の仕事の流れ

一般的に、防水工事は以下のような流れで行われます。

洗浄

防水工事を行う部分を洗浄し、下地をきれいにします。下地部分には、砂やホコリ、コケなどが蓄積されていることが多いです。この上から防水処理を施しても、すぐに剥がれてしまい、耐久性が下がってしまいます。

そのため、念入りに清掃する必要があります。

下地処理

古いコンクリートの表面は、でこぼこになっていたり、ひび割れが発生していることが多いです。そのため、下地を剥がしたり、補修をして、傷んだ部分を撤去します。

下塗り

シーリング材などの密着性を高めるため、プライマーを下塗りします。プライマーを塗らないと密着性が下がり、短期間で剥がれてしまう可能性があります。

シート貼り・脱気筒取り付け

防水シートを貼ります。接合部は、専用のテープなどを用いて接合します。また、屋上の場合は脱気筒の取り付けを行う場合もあります。

脱気筒とは、防水層と下地の間に発生する湿気を排出するための設備です。脱気筒がないと、発生した水蒸気によって防水層の劣化が早く進んでしまう可能性があるため使用します。

防水塗布

防水層を形成するため、まんべんなく平らに塗装していきます。塗装による防水工事の場合、2度塗りを行う場合も多いです。

トップコート

シートの接続部分から水が入ったり、塗料が剥がれたりするのを防ぐため、トップコートを塗って仕上げを行います。

トップコートは、摩擦や汚れなどから保護してくれる役割も持っています。

施工完了

トップコートを施したら施工完了です。防水工事後は、定期的にメンテナンスを行い、問題ないか確認します。特に、トップコートは5年に1度程度の塗り替えが推奨されています。

防水工事は建物を守るために必要な工事

防水工事は、雨水などの侵入を防ぎ、建物を守ってくれる役割があります。また、シミや変色を防いでくれるため、美観維持にも役立ちます。

施工管理職を目指す方は、防水工事の目的と、施工の基本的な流れを理解しておきましょう。

防水工事業の年収は?

電気通信工事業の平均年収は412万円。建設業全体の平均と同程度で、日本人の平均年収よりは少し低めです。あくまでも平均年収ですが、見習いの場合防水工事業では収入は低めです。これは特殊な技術が必要な仕事のため、見習い期間が必要だから。1年目と2年目でかなり仕事内容も収入も変わってくるでしょう。年齢による、会社にお勤め方の平均月収を見てみると

20代 18.2万円/月
30代 27.3万円/月
40代 31.2万円/月

という様に、20代でも他の建設業に比べると低いのですが、年齢によって月収はあがっていく傾向です。

一人親方になった場合はもう少し高く、年収で500万円前後で、一人親方を卒業して職人を数人雇うようになれば年収1000万円も可能です。

技術によるところが大きいため、信頼を十分に得ることができれば、仕事は多くなっていくでしょう。

防水工事業の一人親方が取得すると有利な資格

まず防水工事の一人親方として働く上で必須の資格はありません。資格がなくても仕事はできますが、取得している人が多いのが防水施工技能士の資格です。

防水施工技能士は国家資格であり、防水工事の一定の技能を証明するものであり、名刺などにも記載できる資格なので、営業をする上でもかならず取得しておいたほうがいい資格でしょう。

防水施工技能士には1級と2級が存在し、1級の受験資格には実務経験が7年必要で、2級の場合で2年必要です。どちらにしても短くない実務経験が必要のため、仕事を取得していく上で、防水施工技能士は必須の資格と言えるでしょう。

建築施工管理技士

防水専門の施工管理技士も存在しませんが、防水工事業の許可を取得するには建築施工管理技士の資格が必要です。

1級と2級が存在し、1級は主任技術者と管理技能者になることができます。

工事業の許可のためには必須の項目で、どちらかというと一人親方ではなく、経営者や企業の管理職が必要とする資格ですが、持っておけば企業に就職もにもいいですし、従業員を雇って企業として大きくしていくためには必須の資格と言えます。

もし持っていなかれば高賃金の有資格者を採用するしかなくなってしまいます。特に工事費用が500万円を超える防水工事の仕事を受けるには必須の資格です。

1級に関しては2級の資格を取得してからの実務経験も必要とされるため計画的にとる必要があります。年収に大きく影響を与える資格であるため、一人親方としても取得しておきたい資格と言えるでしょう。

なお、1級の合格率は15%程度です。

防水工事業で一人親方として働くメリット

防水工事業のメリットは確実に仕事がなくならないことです。雨の多い日本では鉄骨であっても、木造であっても防水の工事はとても重要です。しかも防水施工は20年に一度はメンテナンスを行う必要があります。

しかもこれから日本は住宅が余る時代に突入していくので、新たな建築数は減っていくと見られています。ですから新築を立てる仕事は減っていきますが、メンテナンスの仕事は増えていきます。要するに防水工事は安泰だということです。

防水工事業は忙しい

防水工事業は、今さらに仕事が広がっています。それは屋上の緑化案件です。都心部では緑が少なく、光熱費の削減や地球環境の改善のために屋上の緑化が推進されています。

屋上を緑化するには、間違いなく防水工事が必須でさらに造園業とのコラボも必要です。もしこれから仕事をとっていきたいのであれば、造園業との繋がりが多くあるとビジネス的にも忙しくなってくると思います。

防水工事業のデメリット

防水工事業のデメリットは、賠償事故が多い可能性がある点です。防水工事は水を扱うので、ミスがあれば浸水を起こすことになる。浸水は壁紙や構造や家電製品や家具にまで被害を及ぼすし、その賠償額が少なくありません。

そのせいで賠償保険に入りにくい場合もあるほどです。リスクばかり気にしていれば仕事はできませんが、リスクは高い業種だという認識は必要です。

まとめ

以上、防水工について紹介しました。リスクのある職種ではあるものの、誠心誠意、仕事に取り組むことがとても大切です。また、資格取得や常に勉強を心がけることもスキルを磨く上で必要になるでしょう。