さく井工の仕事内容

さく井工事(さくせいこうじ)とは、さく井機械などを使ってさく孔・さく井を行う工事のことです。ボーリング工事と呼ばれることもあります。さく孔やさく井の作業に伴い行われる揚水設備設置などの工事を表す時にも、さく井工事(ボーリング工事)の言葉を使います。

ちなみに、さく孔は孔に爆薬を入れて爆破破砕させるために孔を開ける作業、さく井は井戸を掘る作業を表しています。また、さく井工事は漢字で鑿井工事と書きます。難しい漢字になるため、一般的にはさく井工事と表記されます。

さく井工事は大がかりな工事になるため、費用は基本的に高額です。費用が500万円以上かかる工事を行う際は、施工業者に建築業許可が必要になります。取得せず行うと罰則3年以下の懲役、または300万円以下の罰金が課されます。

災害時の備えとして

井戸は近代化して以降、業務用に作られるイメージの方が強くなりました。しかし2011年の東日本大震災から、災害対策のために家庭用の井戸を掘る人が増えたと言われています。井戸の水は地下水を利用するため、ライフラインの水道が停止しても使うことができます。

水はトイレ・お風呂・飲み水など生活に欠かせない資源なので、ライフラインの停止の影響を受けない井戸は万が一の時に助かる存在となるでしょう。また、井戸の水は使用前に水質検査が行われるため、地下水の質と量が保たれている間(機能する間)は問題なく使うことができます。

さく井工事業の仕事の種類

井戸以外にも、さく井工事はたくさん存在しています。具体的には、

さく井工事
観測井工事
還元井工事
温泉掘削工事
井戸築造工事
さく孔工事
石油掘削工事
天然ガス掘削工事
揚水設備工事

等があります。

さく孔とはなにかというと、筒状の刃を回転させて、コンクリート削孔を行う技術のことを指します。還元井とはなにかというと、熱や地上に出すべきではない、化学物質が出てくる井戸(地熱発電など)などから出てきた熱湯やガスを地中に戻すための井戸のことをさします。

さく井工事の工法3つ

さく井工事の工法は、パーカッション工法・ロータリー工法・エアハンマー工法の3つです。それぞれの特徴があるため、工事を行う場所や用途に合わせて、いずれかの適した工法を用います。

パーカッション工法とロータリー工法では掘削した孔が崩れないよう、泥水で泥壁を作るといった特徴があります。エアハンマー工法では水を使わないため、工事の進め方も最終的な掃除の仕方も異なります。また、各自で仕上がりの口径が異なり、向いている地質や深さなどにも違いがみられます。

パーカッション工法

さく井工事の工法1つ目は、パーカッション工法です。掘削ビットをワイヤーロープの先端に吊り、ロープを上下に動かすことで掘削します。削った石や砂はポンプで吸い上げるので、仕上がりもきれいです。

仕上がりの口径が200~1,000ミリほどで、200メートル以下の浅い掘削に向いています。やわらかい地面の掘削に適しているとされます。水道施設や工場、ゴルフ場などで用いられることが多い工法です。

ロータリー工法

さく井工事の工法2つ目は、ロータリー工法です。トリコンビットと呼ばれる刃先と機械を連結し、刃先に回転力を与えます。そしてトリコンビットを回転させることで掘削する工法です。

300ミリ以下の口径、1,500メートル程度の掘削に適しているとされます。騒音や振動が少ないので、市街地でも多く使われています。基本的には地層の質を問わず安定的な掘削を進めることができるため、浅井戸と深井戸のどちらにも対応可能です。

エアハンマー工法

さく井工事の工法3つ目は、エアハンマー工法です。圧縮空気を使って掘削ビットを駆動させ、打撃力によって掘削する工法です。3つの中では一番パワーのある工法です。

他の工法に比べて、掘進速度が速く、仕上がりも早くなるのが特徴です。口径が350ミリ以下、小規模な井戸や狭いスペースに適しているとされます。騒音や振動が比較的大きいので市街地には向きませんが、山中の硬質な岩盤地層の掘削などに向いています。

さく井工の年収は

さく井工事業の平均年収は412万円です。建設業全体の平均と同じくらいで、日本人の平均年収と低めです。あくまでも平均年収ですので、どのような工事を行えるかや地域によっても年収は変わるでしょう。

年齢による、会社に勤めている場合の平均月収を見てみると、

20代で22.7万円/月
30代で33.1万円/月
40代で43.1万円/月

という様に、20代でも他の建設業に比べると高く、年齢によって月収はあがっていく傾向です。

一人親方になった場合はもう少し高く、年収で700万円前後で、一人親方を卒業して職人を数人雇うようになれば年収1000万円も可能です。

さく井工事業の一人親方が取得すると有利な資格

さく井工事業における一人親方が取得するのは、

さく井技能士
施工管理技士の資格

の大きく分けて2種類があります。

さく井技能士

さく井技能士は国家資格である技能検定の一種。

全国の都道府県が実施しておりさく井に関する学科と実技試験で合否を行います。さく井技能士には、

さく井(パーカッション式さく井工事作業)
さく井(ロータリー式さく井工事作業)

の2種類の資格があり、さらにそれぞれ1級と2級資格が存在します。それぞれ定められた内容の実技試験が行われます。

この資格がなくてもさく井工事業の仕事を行うことは可能です。あくまでも技能を証明するための資格になります。ただこの資格がなければ一人親方としてやっては行けないでしょう。

キャリアアップシステムによって、資格や経験が見られるようになりますので、仕事がもらえなくなる未来がくると予想されます。

一人親方キャリアアップが必要な理由

施工管理技士

施工管理技士の資格は建設業の許可をとったり、大きい仕事(工事費用が1000万円以上)を請けるためには必要な資格です。一人親方としては必ず必要なものではありませんが、独占資格ですので潰しが効きますし、会社に所属するにも有利になります。

さらに会社を大きくして企業として運営していくにも必要な資格です。年収にも大きく関わってくる資格と言えるでしょう。さく井工事業の場合は土木工事施工管理技士を取得することになります。1級と2級があり、試験内容も違いますが注意すべきは受験資格で、特に1級はかなりの実務経験が必要になります。

さく井工のメリット

さく井工事業のメリットは、参入障壁が高い所です。

それなりに業界に入ってしまえばそんな難しい業界ではありませんが、どうしても参入にはハードルが高い面が存在します。ですからライバルが少ない。そんなメリットがあります。

さく井工のデメリット

さく井工事業のデメリットは独立後に、元請けになりにくいところです。それなりに大きい、設備をあつかうことになりますので元請けになるには、かなりの設備投資が必要となります。

もし元請けになるのであれば、相当ながくの設備投資を行うか、もしくか会社ごと買い取る必要があるでしょう。

まとめ

以上、さく井工について紹介しました。井戸は古くから活用される大切な設備です。今後もこの技術が伝えられていくように若い世代、次代に技術を託していけるようにしていきたいです。また、災害時にも活用されるため常に整備を心がけていく必要があります。