高ハードル、刀鍛冶になるまでの道筋
刀鍛冶職人になるための学歴や職歴はなく、目指そうと思えば誰でもチャレンジする事が可能です。なのにハードルが非常に高い理由として、最初の入門探しが最大の難関である事が挙げられます。全日本刀匠会では研修会や体験入門、入門先の斡旋に取り組んでいますが、実際に入門出来る人はごくわずかなのが現状です。
職人の減少と高齢化
そもそも刀匠の資格を持つ職人の数が年々減少している上に、今も現役で日本刀を作っている方の多くが高齢なため、弟子を取る事に消極的な人が多いです。前章で前述したとように、日本刀のみで食べていける鍛冶師は少なく、弟子の面倒をみる経済的、金銭的な余裕のない職人が少なくないからです。
入門しても安心はできない?数々の試練
無事師匠を見つけ、入門出来たとしましょう。一人前の刀鍛冶職人になるためにはまず、刀匠資格を有している刀鍛冶職人の下で最低でも5年以上の修行をし、文化庁が主催している「美術刀剣刀匠技術保存研修会」のカリキュラムを修了する必要があります。8日間開催されるこの研修で技量が認められなければ修了証明を貰えません。
そして、修行中は給料が発生しません。なので、少なくとも修業期間である5年以上は無収入でも暮らしていけるだけの貯蓄が必要となります。入門先にもよりますが、住み込みだった場合は丁稚奉公にも関わらず家賃や食費、生活費に加えて工房での材料費や施設利用料という名目で月に数万円とられる場合もあるそうです。
開業するための費用
厳しい経済状況と修行を乗り越え、「美術刀剣刀匠技術保存研修会」を修了したとしましょう。まだハードルは残っています。師匠の許可を得て独立しても、作業場を位置から作るには約1000万円の資金が必要と言われています。師匠が高齢で、工房を継ぐ事が出来れば新たに工房を設ける必要はなくなりますが、いぜんとして大変な事にはかわりないでしょう。
国や自治体の支援
日本刀は世界的に評価され、認められている最高級の文化であり美術工芸品です。それを作るための洗練された技術を絶やすわけにはいかないと、近年、後継者育成のための補助金制度が設けられていたりします。見習いの鍛冶職人を受け入れる工房への育成補助金や、独立するまでに至った職人達への工房建設費のサポートなどがあり、実績も徐々に増えています。
まとめ
日本の文化、侍の象徴ともいえる日本刀を作る刀鍛冶になるための道が険しいものという解説にはなってしまいましたが、年々技術の継承と保管のためにも国や自治体が主体となって補助金制度を作ってサポートを増やそうとしている事もあり、今後もっと多くの人に紹介できる職種となるよう模索されている未来ある職業とも言えます。
我こそは、と興味や野心を抱いた方は、日本刀文化を絶やさないためにも是非、全日本刀匠会に問い合わせをしてみてはいかがでしょうか。