技能講習と特別教育

技能講習は学科・実技の授業を受け、それぞれの修了試験に合格することで資格(技能講習修了証明書)を取得して修了となります。修了することでそれらの就業制限業務を行うことが可能になります。一人親方として仕事を増やしていくのであれば、資格を取得しておくのはとても大切です。

就業制限業務の中には、技能講習ではなく特別教育を受講することで作業ができる業務もあります。特別教育は学科・実技の授業を受けますが修了試験はなく、受講を終えれば業務を行うことができます。

また特別教育は技能講習と同じく各教育機関で受講することもできますが、登録機関ではなく事業者が特別教育を行うこともできるので、会社によっては社内で特別教育を実施している場合もあります。

特別教育一覧

今回は、技能教育と同じく受講する人が多い特別教育を一覧で紹介します。

【フルハーネス特別教育】

高さが2m以上の箇所において、作業床を設けることが困難なところでフルハーネス型安全帯を使用して作業を行う労働者は、フルハーネス特別教育を受けなければなりません。

対象年齢は18歳以上です。フルハーネスの特別教育が必要なのは、

・建築鉄骨・鉄塔の組立、解体または変更作業

・柱上作業(電気・通信柱等)

・急こう配の屋根上での作業(こう配40度以上)

・梁上・母屋上・桁上・垂木上での作業

・作業床を設けることができない一側足場(抱き足場)上での作業、組立解体

・送電線架線工事

・立坑内での土止め支保工の取付け取外し

・作業構内の組立解体

・チェア型ゴンドラで行う作業

【クレーン運転(5t未満)特別教育】

クレーンとは、荷を、動力を用いてつり上げ、これを水平に運搬することを目的とする機械装置です。労働安全衛生法により、つり上げ荷重5t未満のクレーンまたはつり上げ荷重5t以上の跨線テルハの運転作業については、クレーン運転特別教育を修了していなければならないと定められています。対象年齢は18歳以上になります。

【巻き上げ機特別教育】

き上げ機とは、動力により駆動される歯車などにより減速して回転させるドラム(巻胴)にワイヤーロープ等を巻き付け、物の上げ、下ろし又は横引き、引っ張り作業などに使用することを「巻き上げ機」といいます。対象年齢は18歳以上です。

【玉掛け特別教育】

事業者は、つり上げ荷重1t未満のクレーン、移動式クレーン又はデリックの玉掛けの業務に労働者を就かせるときは、安全又は衛生のための特別な教育をしなければならないことが義務付けられています。

注意点として、玉掛け技能講習と特別教育の違いは、吊り荷の重さではなく、吊り上げ荷重で判断します。対象年齢は18歳以上です。

【高所作業車運転特別教育】

事業者は、「作業床の高さが10メートル未満の高所作業車の運転(道路上を走行させる運転を除く)の業務」に労働者を就かせるときは、その業務に関する安全又は衛生のための特別教育を行わなければなりません。対象年齢は18歳以上です。

【ロープ高所作業特別教育】

高さが2m以上で作業床を設けることが困難な箇所において、労働者が昇降器具を用いて、当該昇降器具により身体を保持しつつ行う【ロープ高所作業】。その危険防止を図るため、労働安全衛生規則が一部改正され、平成28年7月1日からロープ高所作業特別教育が義務付けられ、現在施行されています。この資格を取得しなければ就業することが出来なくなります。対象年齢は18歳以上です。

【公務従事者向け ロープ高所作業特別教育】

公務従事者のみを対象とし、即戦力となる要員育成の一助となること、又 教育内容の理解度を深めると共に 育成に要す時間の効率化を図ります。従事する現場にて求められる行動の基礎 となる教育の履修を目的としています。対象は、受講時点で現役の公務従事者(海上保安官や警察官など)になります。

【自由研削といし特別教育】

自由研削といしの取替え又は取替え時の試運転の業務は、労働安全衛生法令により「危険又は有害な業務」に指定されており、研削といし取替え等の特別教育を修了した者でなければ、その業務に就くことはできないとされています対象は18歳以上です。

【石綿(アスベスト)作業従事者特別教育】

綿(アスベスト)は、熱や摩擦に強い等の特性から1970~1990年代にかけて建設材料を中心にさまざまな用途で使用されてきましたが、石綿肺、肺がん、中皮種といった深刻な健康障害の発生が社会的に大きな問題になっています。

労働安全衛生法では事業者は危険又は有害な業務に労働者を従事させる場合は特別教育を行うよう規定され、石綿を含む建築物の解体・改修工事を行う業務は、労働安全衛生規則により「危険又は有害な業務」に指定されています。対象は18歳以上になります。

【酸素欠乏・硫化水素危険作業特別教育】

酸素欠乏症や硫化水素中毒の危険がある酸素欠乏危険場所では、建設業や製造業など様々な業種で労働災害が発生しており死亡率が高い災害です。

これらの災害の多くは、現場作業者への教育不足、作業管理の徹底不足など酸素欠乏症等の発生原因や防止措置に関する不十分な知識が原因となって発生しています。

労働安全衛生法では、事業者は危険又は有害な業務に労働者を従事させる場合は特別教育を行うよう規定され、「酸素欠乏危険場所における作業に係る業務」は、労働安全衛生規則により「危険又は有害な業務」に指定されています。対象は18歳以上です。

【足場特別教育】

足場の組立て、解体又は変更に係わる業務(地上又は堅固な床上における補助作業の業務を除く)に従事している者について平成27年7月1日(2年間猶予期間)から足場作業を行う方は特別教育を受講しなければならなくなりました。対象は18歳以上です。

【フォークリフト運転特別教育】

フォークリフトの種類はカウンタバランス式やリーチフォークリフトなどがありますが、資格は最大荷重が1t以上か1t未満かで2つに分けることができます。

最大荷重1t未満のフォークリフトの運転(道路上を走行させる運転を除く)の業務に労働者を就かせるときは、安全又は衛生のための特別な教育をしなければならないことが義務付けられています。対象は18歳以上です。

【アーク溶接特別教育】

アーク溶接とは、アーク溶接機を用いて電気エネルギーを空気中の放電現象に変え発生する熱で金属の溶接、溶断等に用いる方法のことです。

幅広い業種で行われる溶接方法ですが、感電災害、爆発や火災といった重大な災害が発生する危険性もあります。このような災害を防止するために労働安全衛生法において特別教育を修了した者でなければ当該業務を行ってはならないと定められています。対象は18歳以上です。

【粉じん作業特別教育】

様々な建設現場において、粉じんはほとんどみられます。

長期間にわたって粉じんを吸い込み続けると、肺に粉じんが溜まりじん肺になるおそれがあります。粉じん作業に従事する方は特別教育として修了する事が義務付けられています。

対象は18歳以上です。

まとめ

以上、一人親方向けの特別教育について一覧でまとめました。特別教育は、特定の作業において必ず必要になるものなので、一つでも多く持っていることで様々な現場で活躍する一人親方になることが出来るでしょう。とはいえ、受講料などが発生するので、片っ端から受けるのではなく、自身に必要と思える資格から取得していくようにしましょう。