技能講習は一人親方にとって重要!
一人親方として事業を行っていく上で、仕事の受注はとても重要です。そして仕事の受注を増やしていくために必要な要素の一つが「技能講習をうけること」です。
今回は技能講習についてと修了証のまとめ方を紹介します。
技能講習とは
労働安全衛生法によって「就業制限業務」に定められた業務を行う場合は、技能講習を受講・修了しなければなりません。
技能講習は学科・実技の授業を受け、それぞれの修了試験に合格することで資格(技能講習修了証明書)を取得して修了となります。修了することでそれらの就業制限業務を行うことが可能になります。講習および試験は全国の都道府県労働局長に認可を受けた登録教育機関で受講することができます。
なお技能講習には、作業者として業務に就く者が受講する講習のほか、それらの業務を指揮する者が受講しなければならない「作業主任者」のための講習もあります。就業制限業務の主任者となる者は、これらの講習も修了している必要があります。
特別教育とは
就業制限業務の中には、技能講習ではなく特別教育を受講することで作業ができる業務もあります。特別教育は学科・実技の授業を受けますが修了試験はなく、受講を終えれば業務を行うことができます。
また特別教育は技能講習と同じく各教育機関で受講することもできますが、登録機関ではなく事業者が特別教育を行うこともできるので、会社によっては社内で特別教育を実施している場合もあります。
技能講習と特別教育の違い
技能講習と特別教育は何が異なるのかと疑問に思われる方も多いと思います。技能講習と特別教育の最も大きな違いは「資格の有無」です。技能講習は修了することで「技能講習修了証明書」という資格を取得できます。
一方、特別教育は受講することで業務を行うことはできるようになりますが、資格取得という扱いにはなりません。そのため、技能講習は特別教育の上位となる講習であるといえます。また上述の通り技能講習は登録教育機関でしか実施できませんが、特別教育は社内でも実施することができます。
修了証はまとめることが出来る!
技能講習終了後にもらえる修了証は、原則現場作業の際など携帯義務があります。しかし、いくつもの技能講習修了証を持つのはとてもかさばります。そこで、知っておきたいのが統合カードです。複数の技能講習修了証を一つのカードにまとめることが出来ます。
実は、知っていそうで知らない人も多くいるので、ぜひ活用してください。
一人親方取得推奨の技能講習
一人親方が取得しておくと役に立つ技能講習を紹介します。
【ガス溶接】
建設業をはじめとする幅広い職種で必要とされる可燃性ガス・ 酸素を使用した、金属の溶接・溶断・過熱の業務に就くにはガス溶接技能講習を修了しなければ従事することができません。この資格は現在多くの場面で求められています。
【足場の組立て等作業主任者】
つり足場、張出し足場又は高さが5メートル以上の構造の足場の組立て、解体又は変更の作業を行う際、事業主は足場の組立て等作業主任者技能講習を修了した者の中から作業主任者を選任し、その者の指揮のもとに作業を行わせなければなりません。
【地山の掘削及び土止め支保工作業主任者】
事業者は、掘削面の高さが2m以上になる地山の掘削の作業、及び、土止め支保工の切りばり及び腹おこしの取付け・取外し等の作業について、地山の掘削及び土止め支保工作業主任者技能講習を修了した者から、それぞれ主任者を選任し、その者の指揮のもとに作業を行わせなければならないことが、定められております。
【型枠支保工の組立て等作業主任者】
型枠支保工(支柱、はり、つなぎ、筋かい等の部材により構成され、建設物におけるスラブ、けた等のコンクリートの打設に用いる型枠を支持する仮設の設備をいいます。)の組立て又は解体の作業を行う事業場で、型枠支保工の組立て等作業主任者技能講習を修了した者の中から選任して、その者に作業に従事する労働者の指揮等をさせなければならないことが、定められております。
【建築物等の鉄骨の組立て等作業主任者】
建築物の骨組み、又は塔であって金属製の部材により構成されるもの(その高さが5メートル以上であるものに限る)の組立て、解体又は変更の作業を行う場合は、技能講習を修了した者の中から建築物等の鉄骨の組立て作業主任者を選任して、その者に作業に従事する労働者の指揮等をさせなければならないことが、定められております。
【高所作業車運転(高さ無制限)技能講習】
高さの制限に関係なく全ての高所作業車の運転が可能となる。現在需要が増えており屋内外問わず様々な業種で必要とされる。
受講するにあたり普通自動車運転免許、小型移動式クレーン運転技能講習等が必要です。
【有機溶剤作業主任者】
事業者は有機溶剤を取扱う業務においては、有機溶剤作業主任者技能講習を修了した者のうちから作業主任者を選任して、その者に作業に従事する労働者の指揮,監督等をさせなければならないことが定められております。
【酸素欠乏及び硫化水素危険作業主任者】
労働安全衛生法第14条の規定に基づき、マンホールの清掃、密閉されたトンネルや下水道の工事など、作業員が酸素欠乏・硫化水素中毒に陥る危険性のある場所の作業においては酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者技能講習を修了した者を作業主任者として選任し、その者の指揮のもとに作業を行わせなければならないことが定められております。
【特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者】
事業者は、労働災害を防止するため、一定の有害な化学物質や四アルキル鉛の含有物を製造、または取扱う作業については特定化学物質・四アルキル鉛等作業主任者技能講習を修了した者のうちから、「特定化学物質・四アルキル鉛等作業主任者」を選任し、その者に当該作業に従事する労働者の指揮その他厚生労働省令で定める事項を行わせなければなりません。
【小型移動式クレーン運転】
『荷を、動力を用いてつり上げ、これを水平に運搬することを目的とする機械装置で、原動機を内蔵し、かつ、不特定の場所に移動させることができるものの内、つり上げ荷重が1t以上5t未満のもの』は技能講習の修了が必要です。具体的には、車両積載型トラッククレーンなどが該当します。
【石綿作業主任者】
事業者は、石綿取扱い作業については、石綿作業主任者を選任して、作業に従事する労働者の指揮、保護具の使用状況の監視等の職務を遂行させなければなりません。法令改正前は石綿作業主任者は特定化学物質等作業主任者技能講習を修了した者のうちから選任することとされていましたが、労働安全衛生法等の改正により、平成18年4月1日からは、石綿作業主任者技能講習を修了した者のうちから選任することとなりました(改正前の平成18年3月までに特定化学物質等作業主任者技能講習を修了した者は石綿作業主任者となる資格を有しています。
まとめ
以上、技能講習修了証をまとめることが出来る点と技能講習と特別教育の違いについて理解してもらえたでしょうか。ここで紹介した技能講習は取得しておくと仕事の幅が広がりますので、ぜひ取得を目指してください。また、特別教育も重要な科目が多いので余裕があれば取得をおすすめします。一人親方として現場に参加する場合はより活躍するでしょう。