社会保険に加入しよう

特定の業種で雇用者がいない事業主である一人親方。一人親方は個人のため、自分で現場に出ることもありますし、営業や経理も行うため仕事量がとても多くなってしまいます。

万が一身体を壊してしまうなどの災害が発生しても大丈夫なように社会保険への加入をおすすめします。今回は社会保険について紹介していきます。

国民健康保険・国民年金・労災保険特別加入制度

一人親方が加入するべき社会保険は国民健康保険・国民年金・労災保険の3つです。

それぞれ見ていきましょう。

【国民健康保険】

市町村で加入できる国保もしくは建設関係の国保組合への加入です。法人格を持たない一人親方は、市町村の国保だけではなく、同種同業による組合員で組織されている国保組合に加入することも可能です。国保組合に加入するためには組合員になる必要がありますが、市町村の国保と比べて保険料が抑えられ、給付内容が手厚いという特徴を持っています。どちらに加入するかは個人で判断して構いませんが、必ず国保か国保組合には加入しておくようにしましょう。

【国民年金】

国民年金も、一人親方が加入しておきたい社会保険です。日本では「20歳以上の人はだれでも年金制度に加入する」ことを定めた国民皆年金制度を採用しているため、年金に加入することは義務であり選択の余地はありません。会社員から独立して自営業を営むのであれば、前職の退職日から14日以内にお住みの市区町村において、国民年金の手続きをする必要があります。

【労災保険特別加入制度】

労災保険は義務ではありませんが、できることなら万が一の備えとして加入しておきましょう。労災保険は本来、被用者向けに用意されたものです。しかし、建設業務の性質上、被用者ではない一人親方でも特別加入できるようになっています。加入すればケガや事故があったときに治療費だけではなく、休業や障害が残ったときに対する保障、死亡時の遺族補償を受けられるようになります。

社会保険加入のメリットは

社会保険加入対象者は、社会保険に加入することを義務付けられています。しかし、現状社会保険に加入していない一人親方は一定数います。国民の義務であるため、加入していない人にはあるリスクがありますが、ここでは社会保険に加入することのメリットを紹介します。

【医療保障】

社会保険のもっとも大きなメリットは、医療保障が受けられる点でしょう。建設業は、その業務の性質上ケガをするリスクが非常に高くなっています。万が一、高所から転落したり工具でケガをしてしまったりしたとき、社会保険に加入していないと治療費が全額自己負担になってしまいます。健康保険に加えて労災保険に加入していれば、治療費のみならず休業中の保障を受けることも可能です。万が一のリスクに備えて安心して働き続けるためにも、社会保険は非常に重要なものなのです。

【万が一や将来的な補償】

老後や障害が残って働けなくなったときも、社会保障に加入していれば収入の保証が受けられます。一人親方が国民年金や労災保険に加入しない場合、年をとったり現場でのケガで障害を負って仕事ができなくなったりしたとき、一切の収入が途絶えてしまいます。この状態では生活すらままならなくなってしまい、家族にも迷惑をかけることになってしまうでしょう。社会保障に加入しておくことで、収入が途絶えたときも安心して生活ができるようになります。

社会保険に加入しないリスク

加入が義務付けられている社会保険に加入しないことのリスクについて確認しておきましょう。3つ紹介します。

【追徴金、罰金】

社会保険事務所などの調査で健康保険や国民年金に未加入だということが判明すると、追徴金や罰金を科されてしまう危険性があるため注意が必要です。追徴金は最大で2年分科され、悪質な場合は財産が差し押さえられる可能性もあります。社会保険料を違法に節約することで、逆に多額のお金を失うことにもなりかねません。こういった事態を防ぐためにも、社会保険には必ず加入しましょう。

【事故やケガの備え】

社会保障に加入しないということは、事故や怪我による治療費や損失をすべて自分で負担するということになります。健康保険に加入していなければ医療保険は全額負担になりますし、労災保険に加入していなければ、万が一障害が残ったときは収入を得られなくなってしまいます。有事の際に備えられないのは、社会保険に加入しない最大のデメリットだといっても過言ではありません。ご自身だけではなく家族を守るためにも、社会保険は必要なのです。

【仕事への影響】

社会保険の未加入は、実は仕事にも影響します。自治体によっては、社会保険未加入者が公共工事の入札に参加できないように定めているケースも多いですし、たとえ民間の工事であっても、未加入労働者の現場入場を認めるべきではないと国土交通省が正式に通達を出しています。法整備によって、社会保険未加入者への規制が今後さらに高まっていく可能性は十分にありえるでしょう。最悪の場合、仕事の受注ができなくなってしまうリスクもあるため、社会保険への加入は重要なのです。

一人親方が加入出来ない保険

一人親方に当てはまる人の場合、厚生年金に加入することが出来ません。厚生年金の加入条件は一定の要件を満たす従業員だからです。しかし例外として、一人親方でも従業員が5人以上でその従業員が、

・常勤である法人代表者、もしくは役員

・常用労働者(勤務時間および勤務日数が、一般従業員の概ね4分の3以上である)

このどちらかに該当すると加入対象に含まれます。

ですが、一人親方とは従業員を雇わない事業主なので、基本的に厚生年金に加入することは出来ません。

社会保険未加入だと現場に入れない?

リスク以前の問題ですが、社会保険未加入の一人親方は現場に入ることが出来ません。国土交通省の社会保険への加入指導が厳しくなっていて、原則社会保険未加入者の現場入りを認めていません。もしも現場に入ることが出来ないといくら仕事を受注しても意味がないですよね。請負先への信頼を失うことにもなりますので、社会保険加入はした方が賢明でしょう。

加入しておくと役立つ「小規模企業共済」

個人事業主や小規模企業の経営者、役員などを対象とした、退職金の代わりになる制度です。国の機関である中小機構が運営しており、2021年3月時点で約153万人が加入しています。一人親方は個人事業主なので、会社員のように退職金が支払われることはありません。しかし、小規模企業共済に加入しておけば、事業を廃止したときに、積み立てたお金に応じて給付金を受け取れます。

小規模企業共済のメリットは、掛金の幅が広い点です。月々の掛金は、1,000〜70,000円の範囲内で、500円単位で設定できます。加入後も掛金を変更できるため、そのときの経済状況に応じて、柔軟に積立できるのも良いところです。

ただし、加入期間が20年未満だと元本割れとなります。加入するなら、事業を廃止する時期を見極めて検討するようにしてください。

まとめ

以上、社会保険への加入のすすめとリスク、その他おすすめの精度を紹介しました。社会保険加入を悩んでいる方はすぐに加入しましょう。国民の義務であることもそうですが、事業を行う上で、決まりを守ることや信用を得ることは非常に重要です。多くの取引先と繋がるためにも社会保険には加入しておきましょう。