経費の計算は重要

事業主でもある一人親方は確定申告を行う必要があります。しかし、確定申告の際、どれくらい経費を計上できるのかや何が経費に当てはまるのかをご存知でしょうか。

今回は、一人親方が経費に計上出来るものや金額などを紹介していきます。

一人親方の経費額

一人親方の経費の平均額は、一概にはいえませんが、売上の3~5割程度です。一人親方の場合は、工具や建材の仕入れ・交通費などさまざまな項目で費用が発生するため、確定申告の規定に沿って申請すると、必然的にその程度の割合になります。逆にいえば、毎月の収入のうち3~5割は経費となるため、生活費など仕分ける際に想定しておく必要があります。

 た、確定申告の際に、経費申告額の上限は設けられていません。かかった費用は漏れなく経費として申請できますが、だからといって不自然な額だと、税務署からのチェックを受ける可能性があります。例えば、売上の8割もの額を経費として申請した場合には、不正な申告とみなされることもありますので、気を付けましょう。

経費として認められるものは

一人親方にとって、経費として認められる項目と認められない項目との、線引きが難しいものもいくつかあります。ここでは、一人親方の経費について解説します。

【旅費交通費・荷造運賃】

業務に関連して発生する交通費は、すべて経費である「旅費交通費」として計上できます。例えば、ご自宅・作業現場・取引業者間などの、移動に関連する交通費がすべて対象になります。公共機関ではなく、自家用車を使用する場合には、ガソリン代を経費として計上可能です。また、遠方に仕事で必要な荷物を郵送した場合の運送費用も、「荷造運賃」として計上できます。

【材料費・消耗品費・雑費】

仕事をおこなうための工具・備品の費用は、すべて「消耗品費」や「雑費」の経費として計上できます。重機や建設用の機械など大型の物から、日用文房具などこまごまとした消耗品までの全てが対象です。さらに、仕事で必要な材料を購入した時の費用も、「材料費」として計上できます。

また、ご自宅の事務所にコピー機などのリース契約を結ぶ場合に関しても、経費として扱えます。(ただし、これらをプライベート利用の目的で契約したものについては、経費として計上できません。)

【外注費・接待交際費】

作業の一部を他の業者に依頼した場合の「外注費」や、飲食店で打ち合わせをした場合にかかった「接待交際費」などについても、経費として計上できます。「接待交際費」は、飲食店でかかった費用のほかに、来客用の茶菓やお中元・お歳暮などの購入費用も計上可能です。

ただし、「接待交際費」はプライベートの飲食との線引きが難しく、税務署からのチェックも厳しい傾向があります。

【組合費・租税公課】

商工会議所や、一人親方労災保険の特別加入団体などの「組合費」に関しても、経費として申請できます。組合に加入することで、営業面でのメリットが得られることもあるので、経費として申告すればよりメリットが大きくなります。また上記のほか、個人事業税・固定資産税・自動車税・印紙税なども、「租税公課」として経費の対象となります。

【家賃・光熱費・通信費】

家賃・電気代・水道代・インターネット代など、生活に必要な費用についても、「地代運賃」「光熱費」「通信費」として経費申請できます。インターネット代やスマホの費用などはそのまま全額経費になりますが、自宅の一部を事務所として使用している場合は、面積あたりの按分で経費を算出します。

【各種損害保険料(自動車・火災・地震など)】

自動車保険・火災保険・地震保険などの保険費用を、経費として申告できます。ただし、経費として申告できない保険もあるため、注意が必要です。

【経費として申告できない保険】

生命保険や国民健康保険、国民年金保険、一人親方労災保険などですが、これらに関しても保険控除の項目で、税金から控除できます。

経費や申告を誤魔化した場合の罰則

収入や経費の申告に虚偽があった場合、どのようなペナルティを受けるのでしょうか。ペナルティの内容を知ることで、虚偽のない申告を心がけましょう。

【加算税】

収入のごまかしが税務署に発覚すると本来の税金に加えて加算税が課せられます。加算税はどれも高額で、事業に打撃を与えるでしょう。どのような加算税があるのか、1つずつ説明します。

・過少申告加算税

過少申告をおこなった場合は、過少申告加算税が課せられます。追加される額は、新たに納めることになった税金の最大15%です。

税務調査が通知されるよりも前に修正申告をおこなえば、課税されることはありません。

・無申告加算税

確定申告をおこなわなかった場合、無申告加算税が加わります。無申告加算税は、申告しなかった税額の15~20%ほどです。

税務調査を受ける前に自主的に申請をおこなった場合は、無申告加算税は減額されます。

・重加算税

収入の隠蔽、または仮装の行為が発覚した場合は、重加算税が加算されます。隠匿や仮装とは、二重帳簿や簿外資金での費用の捻出など、意図的にごまかしをおこなうことです。

隠蔽・仮装は悪質とみなされるため、重加算税は35~40%と、最も重い加算税になります。

一方、前述の過少申告加算税は、意図的ではないミスなどで、税額を過小に申告してしまったときに課される加算税です。同じ加算税でも、重加算税ほどの負担はありません。

過少申告加算税か、重加算税か、いずれが課せられるかは税務署の判断となります。

【延滞税】

納税の延滞をおこなった日数に応じて課せられるのが、延滞税です。手違いで納めるべき税額が不足していた場合でも、延滞税は適用されます。

計算式はやや複雑なため割愛しますが、延滞した日数が長くなるほど税額も高くなるため、注意が必要です。

とくに2か月を過ぎると、税率が高くなります。申告漏れがある場合は、できるだけ早く修正申告をおこないましょう。

【消費税の請求】

消費税の課税事業者にならないように売り上げのごまかしをおこなっていると、過去に遡って消費税を請求されてしまう恐れがあります。

加えて注意すべきなのは、消費税にも加算税がかけられる点です。遡る期間は最大7年のため、徴収される加算税はとても大きくなるでしょう。

【刑事罰】

最もおそろしいペナルティは刑事罰です。悪質な脱税と判断された場合、刑事罰の対象となる可能性があります。刑事罰の内容は、10年以下の懲役、または1000万円以下の罰金刑、もしくはその両方が課されるという重いものです。また、脱税額に応じて、罰金が追加されることもあります。社会的な信用を失ってしまうことも、刑事罰を受けるリスクです。取引先からの仕事がなくなったり、金融機関からの融資が受けられなくなったりする可能性があります。

まとめ

以上、一人親方の経費について紹介しました。経費の計上は、節税のためにとても重要なものです。普段使用しているものが経費として計上できると家計を手助けすることにもなりますので、しっかりと把握しておきましょう。また、虚偽の報告をしないように注意しましょう。刑事罰や余計に費用が掛かってしまうので、少しの誤魔化しなら大丈夫と思わないようにしましょう。困ったときは専門家に相談することも検討しましょう。経費について丁寧に教えてくれるでしょう。最後までありがとうございました。