一人親方特別加入制度とは?

一人親方特別加入制度とは、労災保険の特別加入制度のことを指します。

労災保険は、本来、労働者の保護を目的とした制度ですので、事業主、自営業者、家族従事者など労働者ではない者は、保護の対象とはなりません。

しかし、労働者でない者の中には、業務の実態や災害の発生状況などからみて、労働者に準じて保護することがふさわしい者がいます。

また、我が国の法律は属地主義(法律の適用範囲を国内に限定するという考え方)のため、国内の事業から海外に派遣された労働者は、労災保険法の対象とならず、現地の労働災害補償制度の適用を受けることになります。

しかし、外国の中には、補償制度の確立していない国もあり、また制度があっても適用範囲や給付内容が十分でない場合があることから、国内の労働者と同様に保護すべき者がいます。

そこで、これらの者に対しても、労災保険制度本来の建前を損なわない範囲で、特別に任意加入することを認め、労災保険による保護を図ることとしたのが労災保険の特別加入制度です。

一人親方と呼ばれる7業種とは

一人親方は個人事業主の一つであり、決まった7つの業種の事業主のことを言います。7つの業種とは、

・自動車を使用して行う旅客もしくは貨物の運送の事業(個人タクシー業者や個人貨物運送業者など)又は原動機付自転車もしくは自転車を使用して行う貨物の運送の事業(仲介事業者を利用した飲食物等のデリバリーサービス業者など)

・建設の事業(土木、建築その他の工作物の建設、改造、保存、原状回復、修理、変更、破壊もしくは解体又はその準備の事業)(大工、左官、とび職人など)

・漁船による水産動植物の採捕の事業(7に該当する事業を除きます。)

・林業の事業

・医薬品の配置販売(医薬品医療機器等法第30条の許可を受けて行う医薬品の配置販売業)の事業

・再生利用の目的となる廃棄物などの収集、運搬、選別、解体などの事業

・船員法第1条に規定する船員が行う事業

上記の中で従業員を雇っていない事業主が一人親方です。

労災保険の補償内容

労災事故が生じた際に、特別労災で補償されるおもな内容は下記の4つです。

・労災事故による治療費

・労災事故による休業補償

・後遺障害への補償

・労災事故による死亡に対する遺族給付

労災事故によって受傷した病気や怪我の治療費はもちろんのこと、労災事故によって休業しなければならない期間の休業補償もあります。また、労災事故が原因の病気や怪我によって後遺障害が残った場合には、後遺障害に対する保証もあるのです。さらに、特別労災に加入している一人親方が死亡した際には、一人親方の遺族に対する遺族給付もあります。

このように特別労災の補償内容は、通常の労災保険と同じような範囲を補償してくれます。

福岡県の一人親方労災保険おすすめ

福岡県で活動をする一人親方におすすめの労災保険を紹介します。

【福岡県建設労働組合北九州支部】

福岡県にたくさんの支部を持つ建設労働組合です。60年以上の歴史をもつ組合で、一人親方の結びつきが強い印象を持ちます。労災だけではなく、雇用保険や共済などを取り揃えています。

【九州労務管理協会一人親方団体】

中小企業や一人親方向けの情報発信も行う団体で、一人親方をサポートしてくれます。国の保険であり、本人だけでなく家族も適用範囲内でケガや病気の治療費は全額負担してくれます。労災専門のプロが手続きを代行してくれ、スピード感のある対応が定評です。

【福博建設労働組合一人親方団体】

平成12年に設立された建設組合で、建設業に関わる一人親方のみ加入受付を行っています。

給付基礎日額は、5000円∼20000円まであり、手数料が安いのが特徴です。

一人親方労災、中小事業主労災を取り揃えています。

【九州一人親方福祉協会】

厚生労働省認可の福祉協会です。会員証がスマホ管理できる機能があり、最短で翌日に加入することが出来るというスピード感。入会金・更新料・手続き無料でコンビニ決済が可能という今どきのニーズに合わせた機能が豊富です。

【福岡県建設業一人親方組合】

災害発生時の対応の速さが定評のある福建労です。基礎日額は25000円まで細かく設定されており、設定日額によって保険料はもちろん受給額が変わっていきます。共済への同時加入も出来るので、併せて検討してみて下さい。

休業補償の給付額はいくら?

一人親方は自分が働けなくなってしまったら、無収入となってしまいます。この働けなくなってしまった期間を補うものが、休業補償です。

休業補償によって支払われる額は、1日あたり給付基礎日額の8割になります。8割の内訳は、休業給付が6割で休業特別支給金が2割という内訳です。

基準となる給付基礎日額は、一般的には労災事故が発生した日の直前3ヵ月間に支払われた報酬をその期間で割り出した金額になります。

しかし、特別加入制度の対象者となる一人親方は、労働者と異なり月々の決まった給料がありません。そのため、特別加入制度の給付基礎日額は別の方法で算定します。

特別加入制度の給付基礎日額の決め方は、特別労災加入時に16段階の給付基礎日額のなかから選んで決定するのです。給付基礎日額の金額が低ければ、月々の保険料が安くなり、反対に金額が高ければ、月々の保険料は高くなります。

一人親方労災保険の注意点

【元請の労災保険は適用されない】

一人親方には、元請会社の労災保険は適用されません。元請会社の労災保険が適用されるのは、雇用関係にある従業員だけです。

一人親方が仕事で怪我をした場合、元請に事故報告は必要ですが、労災手続きをするときに元請の証明などは必要ありません。

ただし、元請に過失があった場合、損害賠償などの請求先にはできます。

【労基署が認めた事由のみ労災の対象】

労災保険の対象となる業務災害や通勤災害については、労働者災害補償保険法(以下、労災保険法)などで定められています。

事故が労災保険法で定める災害に該当するかを審査するのは、労働基準監督署(以下、労基署)です。労基署が認めた事由のみが、労災の対象となります。

また、労災保険の対象となる業務災害・通勤災害は、会社員と一人親方では異なります。一人親方の場合、事業ごとに労災保険の対象となる内容などが限定されるためです。

たとえば、建設業の一人親方の業務災害は、次の通り具体的に定められています。

・請負契約に直接必要な行為

・請負工事現場における作業

・請負工事に関する機械や製品を運搬する作業

などがあります。

【現認者を特定しておく】

注意点の1つ目は、労災事故の「現認者」を特定することです。

現認者とは、災害発生の事実を確認した人のことをいいます。事故直後に特定加入団体へ報告する「労災事故報告書」や、労災請求書(療養補償の請求書など)に、現認者を記載しなければなりません。

また、労災申請のためには、事故の原因や発生状況の報告が必要ですが、当事者には何が起こったかわからないケースも考えられます。現認者の特定は重要で、事故の状況を正確に把握することにも役立つでしょう。

まとめ

以上、福岡県で活動する一人親方におすすめの労災保険と一人親方労災保険について紹介しました。加入団体や支払金額によって補償額は変わっていくので、自身に合った条件を選びましょう。また、災害発生時に確実に労災がおりるように注意点を踏まえておきましょう。