鉄筋工になりたいと思っている方、すぐになることが出来ます。方法は簡単です。ホームセンターへ行き、結束用の「ハッカー」というものを買ってくるだけです。技術は置いておくとして、自称「鉄筋工」の誕生です。作業服を買って着れば、見た目も「職人」です。
それでは鉄筋工としての仕事「結束」から始めましょう。「結束」とは、ハッカーを使って「結束線」と呼ばれる針金で鉄筋をとめることです。
初めて結束する人は時間がかかってしまいますが、ベテランとなると2,3秒もあれば結束できてしまいます。これはキーボードやマウスに慣れてないPC初心者が、入力に時間がかかることと同じことで、慣れてくればもちろん早くなってきます。そしてある程度結束が早くなれば、もうすっかり「鉄筋工」と呼べるでしょう。
鉄筋工の仕事
鉄筋の結束だけが、鉄筋工の仕事ではありません。鉄筋を結束するためには、いくつかの過程があるので、鉄筋工の主な仕事を紹介します。
加工帳、施工図作成
仕事を受けた現場からもらう図面は、大工や設備などの建築関係者全体がわかるように描かれており、鉄筋屋がそれをみて、現場で鉄筋をいきなり取り付けするようなことはしません。
仕様書と図面から適切な材料を選択、鉄筋の加工形状や数量を見積もり、加工場に発注したり、現場の職人が材料を見て取り付けができるように施工図を作成します。
鉄筋加工
現場で取り付ける鉄筋は、必要に応じて加工(適切な長さに切ったり、曲げたりすること)をしなければなりません。 鉄筋加工場では、各現場より出された加工帳をみて、鉄筋を加工し、そして、現場へ材料を送ります。
配筋、段取り
加工場より送られた材料を作成された施工図をもとに鉄筋を取り付けていきます。 ある程度経験がある者が施工図をみて、作業の段取り、または配筋の指示し、鉄筋を組み立てていきます。
嵌合(かんごう)
鉄筋を配筋し、組み立てる途中、必ず鉄筋をつなげる作業があります。鉄筋をつなぐ方法は幾通りかありますが、機械式継手と呼ばれる方法では、カプラーと呼ばれるスリーブ状の物で鉄筋をつなぎ、つなぎ目にエポキシやグラウトと呼ばれる接着剤を注入し、鉄筋をつなぎます。 この作業も建物の強度に密に関係するので手早いだけでなく、確実な仕事が求められます。
結束
そして、鉄筋を結束。きれいに見栄え良くまとめて、取り付け完了。 結束も熟練の職人にかかれば、水平垂直平行きれいにまとまります。
自主検査
鉄筋はコンクリートに隠れ、最終的に見えなくなります。だからといっていいかげんな仕事をして良い訳ではありません。組み立てられた鉄筋は、会社の製品です。 製造会社が自社の製品を検査し、品質を維持する事は、当然のことでしょう。
ここまでが主な鉄筋工の仕事となります。
この後の工程で第三者機関等が配筋検査を行い、コンクリート打設へ各業者が準備していきます。
鉄筋工に必要な資格
鉄筋工として働くために必要な資格は、特別にありません。しかし、取っておくと役立つものがいくつかあります。
それは研削砥石玉掛高所作業車クレーンフォークリフト継手作業(メーカー発行) 等です。これらの資格は経験に応じて随時取得させましょう。
上記の講習で得られる資格のほかにも、鉄筋技能士試験もおすすめです。
鉄筋技能士
職業能力開発促進法に基づいて、鉄筋工事に関する技能や知識を一定の基準にあるかどうか、検定する国家試験です。 大地震が起こるたび、耐震設計が見直され、鉄筋工事で含蓄する鉄筋量や鉄筋工事の工法が高度なものが増えてきたため、経験を伴った技術者が現場を仕切らなければ、前に進まない工事現場もあります。
そういった工事を施工できる最低限の水準が「技能士」がいるかどうかになりつつあります。現に国の発注する工事では、一級技能士の常駐を求められる場合もあります【1 級技能士常駐制度】。
そして、一級技能士の資格を取った後も建築工事の品質向上を目的とした『登録基幹技能者』や『施工管理技士』などの資格も存在し、さらなる上を目指す職長や職人技術者がいるからこそ、建築現場は支えられており、その職長はもちろんその職長のもとで働く社員とともに、取引関係各社より信頼を勝ち得ています。
平均年収は?
鉄筋工の年収は全国で445.2万円です。男女差は約169万円となります。
まず、全国における鉄筋工の年収を性別にみてみると、男性の場合で452.4万円、一方で女性の場合では283.1万円の水準、男女の合計では445.2万円となっています。その為、鉄筋工の年収における男女差は169.4万円の違いがあることが分かります。
また、男女の合計における年収水準が男性の場合に近い理由として、鉄筋工の全体数のうち男性の占める割合が大きいことが考えられます。年齢別では、45歳-49歳が578.9万円で最も高い水準になります。
次に、全国における鉄筋工(男性)の年収を年齢別にみてみると、19歳以下の276.4万円から25歳-29歳の323.7万円まで徐々に増加した後、30歳-34歳の491.9万円まで大きく増えていることが分かります。
また、年齢別でみた鉄筋工の年収は45歳-49歳の578.9万円を最も高い水準として、以降は概ね減少する傾向にあり、60歳-64歳では460.3万円、70歳以上では418.6万円の水準まで落ち込んでいます。
都道府県別でみた年収で最も高い水準は神奈川、次いで北海道、宮城が高水準になっています。全国における鉄筋工の年収を都道府県別でみると、最も高い水準は神奈川の742.9万円で、北海道の652.2万円、宮城の614.2万円が続き、これらの地域における水準は全国の水準より160万円以上高い水準となっています。
一方、最も低い水準となったのは愛媛の173.6万円で、次いで熊本の252.0万円、青森の252.0万円でした。なお、東京における年収は409.0万円と全体で15番目の水準となっています。
鉄筋工の年収、青森は減少傾向になり、全国では概ね横ばい増加の傾向になっています。2019年までの青森における鉄筋工(男性)の年収水準を見てみると、2010年の272.3万円から2012年の434.8万円まで大きく増加しています。
その翌年には262.6万円まで大きく減少しましたが、2014年に再び大きく増加しました。その後、2016年の476.1万円から2017年の335.5万円まで大きく減少、2018年には348.0万円の水準まで回復したものの、2019年の時点では252.3万円と再び大きく減少していることが分かります。
全国における年収水準の傾向は!?
同様に、全国における鉄筋工(男性)の年収水準を見てみると、2011年の355.6万円から2013年の294.7万円まで減少傾向で推移しましたが、その翌年より増加傾向で推移し2015年には388.6万円の水準まで増加しました。
そこから2017年時点の398.9万円まで概ね横ばいの傾向で推移した後、2018年は448.2万円と大きく増加していることが読み取れます。また、2019年の時点では452.4万円と2018年の水準と比較して概ね横ばい若干の増加となっています。
まとめ
以上、鉄筋工について紹介しました。鉄筋工はなるだけならばとても簡単になることが出来ます。しかし、そこから収入を上げていくには、しっかりと貢献をしなければなりません。知識と技術を磨いていきましょう。