コンクリート技士とは?
コンクリートの製造や建築物の施工、検査・管理などの業務に携わっているコンクリート技士。コンクリート技士の業務の指導や計画・管理などを行なう職業のことをコンクリート主任技士と呼んでいます。
設計士や製図家と連携して仕事をしたり、デザイナーがかいた手書きの図面・デザインを調整したりすることも。そのため、最近はコンクリート専門のプロフェッショナルとしてあらゆる業界から注目されているようです。
どんな資格が必要か
コンクリート技士になるためには日本コンクリート工学会が主催している「コンクリート技士試験」に合格しなければいけません。
建築技術は高度化・多様化・複雑化し続けながら進歩しており、コンクリートに関する幅広い知識と豊富な経験を持っていることを証明できるコンクリート技士の資格が求められます。
現在、コンクリート技術者を対象とした資格はさまざまなものあり、コンクリート技士試験は基本的なレベルとして位置づけられている資格です。
コンクリートの製造や施工に携わるなら、初めのうちに取得すべき資格とも言えるでしょう。
コンクリート技士の給与
コンクリート技士の資格以外の資格を取得して大手ゼネコンの現場監督して勤めた場合、40歳前後には年収はおよそ700万円ほどです。建築関連の職務歴の有無によって年収は異なりますが、通常であれば年収は350~450万円程度。また、生コンの製造会社で勤務した場合は、400~500万円ほどだと言われています。
日本の平均年収は503万円、建設業においては493.9万円になっており、平均より上回っていることが分かります。求人情報サイトを見ると、コンクリート技士やコンクリート診断士の資格を持っていれば、資格手当が付く企業が多くなっています。
コンクリート技士の将来性
技術の進歩によってコンクリート工事の多様化が求められています。さらに、コンクリートの耐久性の向上を図るために、コンクリートに関する幅広い知識を持っている技術者は需要が高い傾向に。
コンクリート技士・コンクリート主任技士の資格を持っていれば、コンクリート診断士試験を受ける際にコンクリートの基礎知識に関する試験が免除となります。
他との差別化をしてビジネスチャンスをつかむために、コンクリート技士の資格をステップアップの土台として、活用してみるのもアリですね。
コンクリート技士、コンクリート主任技士の資格
日本コンクリート工学会が主催しているコンクリート技士試験。コンクリートの製造や施工に携わる技術者として必要な知識・能力を証明することが可能です。コンクリート技士の上位としてコンクリート主任技士の資格も設けられています。
コンクリート技士の条件
一級建築士や一級建築施工管理技士、一級土木施工管理技士であれば受験可能です。コンクリートの技術関係の業務に携わっている方は、学歴や年齢に関係なく、3年以上の実務経験を持っていると受験できます。
コンクリート診断士やコンクリート構造診断士として活躍している場合は、実務経歴書の提出や勤務先の証明が必要です。また、大学や専門学校でコンクリート技術に関する科目履修した場合、2年以上の実務経験で試験を受けられます。
コンクリート技士試験について
試験は1年に1回しか行なわれません。札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・広島・高松・福岡・沖縄で試験が開催されています。
試験は150分の学科試験のみです。費用は約10,000円程度となります。前回の2017年度の試験は、8月上旬~9月初めまでが受験願書提出期間と設けられており、11月中旬に試験を実施。
合格発表は約2ヶ月の2018年の1月中旬となっています。
コンクリート技士の合格率
コンクリート技士試験の合格率は30%前後です。試験の合格基準点は公式に発表されていませんが、70%前後の点数が合否基準だと言われています。
試験は各分野からまんべんなく出題されるため、苦手な分野があると点数を取ることができません。過去問をたくさん解いて苦手な分野を克服する必要があります。
コンクリートの素晴らしさ
コンクリートは道路や高架橋、トンネル、ダムなどを建設するためには欠かせない建設材料です。通常コンクリートはセメントに水を加え、小石や砂を混ぜて作られています。そのルーツは古代ローマの時代にあり、世界遺産のコロッセオやカラカラ浴場などの建造物にも使用されているのです。1,000年~2,000年もの時を経ても、形を保っています。
その優れた技術が詰め込まれているナポリ近郊のソンマ・ヴェスヴィアーナ遺跡でコンクリートの塊が発掘されました。古代ローマのコンクリートの耐久性を探る研究の結果、火山灰に石灰や消石灰を加えたセメントに大きめの石や砕いたレンガが混ぜられていることが判明。
この製造技術は、現在のダムのような大型構造物のコンクリートに似ており、古代ローマの時代から高度な建設技術が現在まで脈々と受け継がれていたことがわかったのです。古代ローマのコンクリートからは、カルサイトと呼ばれる成分が見つかっており、現在のコンクリートの耐久性の向上に役立つのではないのかと考えられています。
現代のコンクリートの用途
コンクリートは形を自由にすることができ、耐火性に優れ、圧縮に対する抵抗性が大きいなどの利点がありますが、引っ張りに対する抵抗性が小さい、質量が大きいなどの弱点もあります。しかし、それを補うために工夫が施されて、コンクリートは建築する構造物によってさまざまな種類が誕生しました。以下でコンクリートの種類について紹介します。
一般に適用されるコンクリート
一般構造用コンクリートは、建築構造物用や土木構造物用のコンクリートとして用いられます。
冬季・夏季に適用されるコンクリート
一般的なコンクリートだと季節によって固まるのが遅くなったり、早くなったりします。そうなってしまうと耐久性が低下してしまうため、対策として寒中コンクリート・暑中コンクリートが用いられるのです。
大型構造物・高層ビルなどに適用されるコンクリート
マスコンクリート・流動化コンクリート・高流動コンクリート・高強度コンクリート・低発熱コンクリートなど大型の構造物を建築する際に用いられるコンクリートがあります。通常よりも強度が高い物や施工しやすい物などの特徴を持つコンクリートです。
私たちの環境づくりにかかせないコンクリート
コンクリートは用途によってさまざま種類がありますが、環境づくりに役立つ種類コンクリートもあります。例えば、公共の場にある構造物に使われているコンクリートです。公共の場にあると、ひと目につきやすく街の景観に大きく影響します。景観を守るために、「景観コンクリート」という周辺環境と調和する美しい見た目のコンクリートが誕生しました。さらに、水の組み合わせや小石の混ぜ方に細工して、コンクリートに隙間を作ってその隙間に植物が植えて緑化する「緑化コンクリート」と呼ばれるものも造られています。土手のような傾斜になっている場所の土砂が流れないようにコンクリートで固めつつ、緑によって自然の景観を阻害しないようになっているのです。
他にも「吸音コンクリート」と呼ばれるコンクリートがあり、車を走らせている間静かかつ滑らかな走行を実現しました。道路用の吸音コンクリートは排水性にも優れており、雨が降った時の事故の発生を抑制。また、川や池などの水質汚染の対策として、浄化機能を持つ「水質浄化コンクリート」もあります。水質をキレイにして生態系保全に対して配慮しているのです。
このようにコンクリートは、環境に合わせて環境に溶け込むものや環境を改善するものなど、さまざまな種類があります。コンクリートは多種多様で奥が深いため、基礎からしっかりと学びましょう。
コンクリート技士になるには、コンクリート技士試験に合格しなければいけません。さらに併用して建築関係の資格を取得しておくとキャリアップに役立ちます。
まとめ
以上コンクリート技士について紹介しました。コンクリートは、私たちの生活に密接に関わっています。暮らしを守るためにも必要な影の功労者です。ぜひ目指してみてください。