ブロック積工とは

建築用コンクリートブロックをモルタルや鉄筋を使って積み上げ、壁や塀(へい)・建物などを造る仕事です。建築用コンクリートブロックは、空洞ブロック、型枠状ブロック、化粧ブロックなどに分けられます。

 ブロック工事は、建築工事の中では大きな道具を使わず、細かい作業中心になります。作業場所の移動もあるが、取り扱う材料も比較的小型なので小回りがききます。

作業の流れ

 作業はまず、必要な量の建築用コンクリートブロック、砂、セメント、鉄筋などを所定の場所まで運びます。次に、ブロック積上げの所定の位置を明示する線(墨)を確認し、基礎を造り、ブロック用の遣り方を堅固に建て、水糸を張りましょう。

セメントと砂(1:2.5~3)を水で適当な硬さに練り合わせてモルタルをつくり、鏝(こて)や鏝板などを使ってコンクリートの基礎に塗り、高さの調整などを行います。鉄筋を配したコンクリート基礎の上に、順次モルタルで調整、空洞部へモルタルを充填(てん)し、計画通りの段数ごとに横鉄筋を配しながら、最下段から一段ずつ積みます。

積み上げにあたって、あらかじめ決められた割付け(遣り方)に従い、糸の先に逆円錐形のおもりを垂らした水糸(下げ振り)を張り、ブロック端部(たんぶ)が垂直になるよう順次、上方に積み上げて行きます。

 ブロック積みが終わるとモルタルのほど良い硬化を待ち、刷毛(はけ)などを使って、ブロックを水洗いし汚れを落として、目地(めじ)部モルタルを仕上げます。

仕上げには、ブロックの仕上げそのものを見せる「化粧積み」と、ブロックの上にモルタル塗りやタイル張りなどを施す「下地積み」があり、前者の場合には目地をモルタルで美しく仕上げる「目地ごしらえ」という工程が加わります。

コンクリートブロックの施工手順

基礎の土を掘る

ブロック塀の基礎を設置するため、土を掘ります。境界ブロックなどの場合で古い基礎を取り除く場合は、電動ドリルを使用するため大きな音が発生します。また重機が入らない場所も多く、手作業での運搬となる場合もあります。深さは塀の高さに応じて変わり、浅い場合は20センチ前後、深い場合は50センチ以上の掘削が発生します。

砕石を敷き詰める

コンクリート基礎の沈下を防ぐため、砕石を均一に敷き詰めます。多くが手作業で行われ、職人が一輪車を使って運搬します。敷き詰められた砕石は転圧機などで固められます。

型枠と鉄筋を組む

基礎のコンクリートを流し込む型枠と鉄筋を設置していきます。鉄筋はコンクリートが固まった表面から飛び出るよう設置いたします。先端は尖っており危険ですのでキャップ等を使用してケガの防止を行います。掘削から型枠の設置までにかかる時間は、門柱など施工範囲が狭い場合は、1日で終わることもありますが、外周の壁など、施工範囲が広い場合は数日の時間を要します。

基礎用のコンクリートを流し込む

型枠内に基礎を流し込みます。流し込みの作業自体は1回ですが、コンクリートが固まるまで1日~5日ほどの時間がかかります。基礎が完成してようやくブロックの施工に入ります。1段目のブロックを施工後は埋め戻しを行います。

モルタルを練る

モルタルは水を含んだ瞬間から硬化が始まりまるため、モルタル材と水を施工現場内にて練り合わせます。かくはん機やミキサーを使用するため、多少の音が発生しますが、使用時間は長くありません。清掃や混ぜ合わせるための水で水栓の使用を依頼させていただく場合がございます。ご了承ください。

ブロックを積む

モルタルを下段のブロックに載せ、その上にブロックを重ねていきます。高さに応じて横筋と呼ばれる鉄筋を水平方向に貼り、ブロックの強度を向上させます。ブロックは1個1個わずかなゆがみも許されない、高い技術力が必要な作業です。そのため職人が一つ一つ丁寧に手作業で施工を行います。門柱のような小さな壁では5~6段、長い塀であれば1~2段を1日で施工します。

表面を仕上げる

門柱やブロック塀の場合は表面を塗装やタイルなどで仕上げを行います。仕上げの方法や面積により、施工にかかる日数が異なります。化粧ブロックを使用する場合はこの工程が省略されます。また土留めや境界などでは、特段表面の仕上げを行わないことも多くあります。

就業するには

入職にあたって、特に学歴や資格は必要とされません。学校卒業後、ブロック工事会社に就職し、見習の仕事から始めて徐々に仕事を覚えていくのが一般的である。公共職業訓練校で養成訓練を受けてから入職するケースもあります。

ブロック積みは技能が重視される仕事で、比較的少人数で行う工事なので、技能を身につければ早期に独立することも可能です。始めてから3年くらいで独立する人もいます。

ほとんどが手仕事で、細かく神経を配る必要があり、またある程度の重量物を連続して持ち運びできる体力も要求されます。関連する資格として、厚生労働省の技能検定「ブロック建築技能士」、関係団体の「建築コンクリートブロック工事士」があります。

労働条件の特徴

ブロック工事の事業者は中小企業が多く、自営業主や家族従業員が多いのが特徴です。働く場所はビル工事を中心に、共同住宅、一戸建住宅、店舗、倉庫、工場など各種の建築工事現場です。

賃金は施工した仕事量に応じて支払われる出来高制が多く、所得は各人の技能によって大きく異なってきます。このため、能率を上げて仕事をすれば時間的なゆとりもできます。

労働時間は、午前8時始業で午後5時終業というケースが多いですが、現場の立地条件や作業環境、工程、他の職種との兼ね合いなどのため、必ずしも一定しません。日曜日や祝日は原則として休日であるが、工事の都合で作業をしなければならない場合もあります。

作業は屋内の場合も屋外の場合もあり、共同作業が多いですが、一人だけで行う小規模なブロック工事もあります。コンクリートブロックを工場であらかじめユニットに組み立て、現場ではユニットの据え付けだけを行う省力化された工法も開発されています。

ブロック積工の平均年収

ブロック積みの平均年収は、433万円でした。 全国平均の年収が436万円であることを考えると、 全国平均よりもやや低い水準となっています。 ここで、年代別の平均年収をみてみましょう。

年代別の平均年収

25~29歳の平均年収は369万円で、30~34歳になると397万円と平均年収が28万円プラスとなります。 さらに、40~45歳になると433万円で、50~54歳になると458万円となります。

ブロック積工の役職別平均年収をみてみましょう。 係長の平均年収は538万円、 課長の平均年収は703万円、 部長の平均年収は848万円となっており、 全国平均よりもやや低い水準となっています。

ブロック積工の人数と平均年齢

平成27の国勢調査によると、ブロック積みの就業者数は27810人でした。

令和2年の賃金構造基本統計調査によると、ブロック積みの平均年齢は、42.4歳でした。 全職種全体の平均年齢が46.7歳であることを踏まえると、 他の職業と比較をしてやや若めの年齢であることが分かります。

まとめ

以上、ブロック積工について、仕事内容や収入を紹介しました。正確にブロックを積み上げる作業は、精度がとても重要になります。これは、特に経験年数が重要になっていきますので、就業したてでめげずに、働き続けましょう。