石工の仕事内容
採石と石を加工する仕事の2種類
石工の仕事は、主に採石場から石を切り出す仕事と、その石を加工する2つにわかれます。近年採石の仕事は減少傾向にあり、すでに加工済みの石を組み立てたり据え付けたりする職人を「石工」と呼ぶケースが多いです。
採石場で働く場合は、石の種類に合わせてジェットバーナーやドリル、火薬などを利用して石を切り出していきます。
切り出された石は、たがねやつちといった道具を使い、適切な大きさに割られ、加工されていき、つくられた石材はさまざまな場所で使われます。
石材の加工方法には「1次加工」「2次加工」があり、1次加工は、原石から板材と呼ばれる使いやすい形に整え、表面をきれいに整えることです。
2次加工は、板材を製品ごとの大きさに切断し、細かな作業を行っていきます。
主に墓石や灯籠、石仏、石橋などを作っていきますが、これには数ミリ単位の精度が要求されることも珍しくありません。
サンドブラストなど文字や模様を掘ったりする繊細な作業もあるほか、機械で加工できない部分には手作業での作業も多いです。
このように石を切り出し加工するには専門的な知識と技術が必要です。
石はただ加工してそのまま使われるだけでなく、組み合わせたり積み上げたり、敷き詰めたりすることもあるため、性格さや几帳面さも求められる仕事です。
特に細かい部分の調整を行うには経験が必要で、手先の器用さだけでなく技術向上のため淡々と努力することも大切な仕事です。
石工になるには
大学などで学んだあと石材店などに就職
石工を目指す場合は、まず大学や専門学校等で建築や土木・芸術・彫刻などを学ぶとよいでしょう。
その後、石材店などに就職し、経験を積んで一人前を目指します。
石材店の多くは家族経営など小規模なところも多く、かつては職人に弟子入りして代々技術を受けついでいくのが一般的でした。
しかし近年は後継者不足や人手不足が大きな問題となっており、公共事業が停滞したり、工事が遅延したりするケースも増えています。
そのため、まったく石材加工の経験や知識がなくても受け入れてくれるところもあります。
一般的な企業のように新卒採用を行っているところもありますが、小規模の会社では不定期採用であったり、募集が若干名であることから細々と求人を出していたりするところも多いです。
石材店のホームページを見たり、ハローワークを通して求人情報を集めてみたりするといいでしょう。
なお、石工には、採石をする仕事と石材加工をする仕事があり、石材加工には建築関係の仕事を中心としているところと、芸術関係の仕事をしているところがあります。
自分はどのような仕事を手掛けたいのかをあらかじめ考えておき、それが実現できる石材店を選ぶとよいでしょう。
なお、近年の石材店は石の加工だけでなく、土木工事や建築工事も行うところが多いため、石材店に就職したとしても、必ずしも石材加工の仕事に携われるとは限りません。
石工を目指すのであれば「石材加工をしたい」という意思をあらかじめ伝えておく必要があるでしょう。
石工の学校・学費
建築・土木関係か芸術系のどちらか
石工を目指す際の進学先としては、建築・土木関係か、美術や彫刻など芸術関係に分かれます。
一方、まったくの未経験から就職し、弟子になることで、石工への道へ進むという人もいます。
かつては中学校や高校卒業後に弟子入りするというケースが多く見られましたが、近年は石材加工が機械化されたことにより、一定のスキルや知識を身に付けてから就職する人が増えてきています。
そのほか、石工を専門的に学べる学校は非常に少ないですが、岡崎技術工学院(愛知県)の石材加工科、北海道石材技術学院などへ進学する道も考えられます。
なお、石工の仕事は建築・土木関係と伝統工芸品をつくる芸術関係がありますので、どういうものを作りたいかを考えた上で進路選択することが必要です。
石工の給料・年収
かつてほどの高収入は期待できません。石工の年収は400万円前後がボリュームゾーンとされています。石工の給料は月給でなく日給制をとっていることも多く、石工の仕事が天候に左右される仕事であることから、実働した分だけ給料を支払うという方法がとられています。
日給制の場合、一般的な石工の一日の給料は2万円前後となっており、ベテランの職人となると2万5000円ほどもらえることもあります。なお、見習いの場合は一日7、8000円~1万円前後であることも多く、毎日働いたとしてもさほどいい給料がもらえるわけではありません。
石工の給料は石材店など勤務先によるところが大きく、公共工事などの大規模な工事を請け負ったり、歴史的建造物を扱ったりしているところは、給料が高くなりやすいです。
また、土地柄として高級料亭や邸宅、寺社仏閣などが多く、仕事量が多いという会社も給料は高くなります。かつて石材店というと、地域に根差した仕事をしており、その地域の石材はすべて自社で担う、というところも多くありました。
しかし近年は韓国や中国、インドなどから安い石材が輸入され、こうした国で安く加工を行うことも増えてきているため、価格競争によって淘汰されつつあるところが増えてきています。こうしたことから石材店は苦境に立たされており、かつてのように高収入は期待できないのが現状です。
現状と将来性
高度な技術を付加価値にする
石材店は、かつては高収入とされているところが大半でした。
これは国産の石を多く扱っていたことや、地域の石材商品や工事を幅広く扱っていたことが理由で、石工職人も多く雇われていました。
しかし近年では、石材も安価な輸入品が使われることが多くなりました。
とくに石材店の主力商品だった墓石はより安価なものが好まれるようになってきていることから、中国製のものも増えてきています。
石工はこうした安価な商品に対抗しなくてはなりません。
近年では、こうした外国製の商品に対抗しようと、石材の販売や加工を中心とするよりも、公共工事や寺社仏閣の修繕など高度な技術が必要とされる事業に変更し、付加価値をつけようという動きも見られます。
石工の就職先
石材を扱う会社
石工の活躍場所は、主に石材店や石材加工会社、建築会社などです。
採石を行う場合は、岩石がとれる山のなかで作業をしなくてはならないため、地方で働く人が多いです。
石材製作の現場も、大きな石を扱ったり加工の際に騒音が出たりすることから街中にあることはまれで、普段の生活ではあまりなじみがないかもしれません。
石材というとお墓をイメージする人も多いですが、なかにはビルや駅の外装や玄関を手掛けるところや、石の橋や灯篭、狛犬などをつくったりするところもあります。
かつては学校卒業後にこうした場所ではたらく職人や親方に弟子入りして腕を磨くという人が多くいましたが、近年は大学などで建築や土木の勉強をしてから就職するパターンが多いです。
石工はつらいのか
一人前になるまでには10年かかるといわれます。石工の仕事はすぐに技術が習得できるものではありません。はじめの2~3年は先輩職人や親方についての見習いとなり、一人前になるには10年ほどかかるといわれています。
ハードな仕事の割に、見習いの間は給料も低めになることが多く、一人前になるまでにこの道をあきらめてしまうという人も多いです。
また石を削る仕事では、粉塵を吸い込むことにより「じん肺」という病気になってしまうという人もいます。
もちろん、防塵マスクをして作業するなどさまざまな予防や対策はされていますが、治療法が確立されていないため、悪化すれば仕事を辞めなくてはならない事態につながります。
石工に向いている人は
辛抱強く真面目な人
石工に向いている人は、辛抱強く真面目な人です。
石工として一人前になるには時間がかかり、石の据え付けには3年、一通りの加工を覚えるには10年かかるといわれています。
こうした技術をコツコツと身に付けていくには、まずつらい見習い時代を乗り越える辛抱強さ、そして「絶対に一人前の石工になる」という強い意志が必要です。
石工は昔ながらの職人気質の人も多く、一つ一つていねいに仕事を教わるのではなく「見て覚える」「まねて覚える」といった工夫も必要です。
まじめでどん欲に技術を身に付けていこうと努力や工夫ができる人は、この仕事に向いているといえるでしょう。
まとめ
以上石工について紹介しました。石工に向いている人は、ひたむきに努力を続けることが出来る人だと言えます。長い修行に励み、匠の技術を身に着けましょう。